珠玉のボルドー「ペトリュス」で夢のようなひと時・・・
「ラトゥール」「マルゴー」「ロマネコンティ」・・・みなさん、一度はこんなワインの名前を聞いたことはありませんか? これらは、“グラン・ヴァン(grand vin)”と呼ばれ、直訳すると「偉大なワイン」。その多くは特定のエリアで育ったブドウで造られた高品質の一級ワイン。生産数が少なく希少性も高いことから、ワインの中でも別格中の別格。特定のエリア以外にも“グラン・ヴァン”は存在し、確固たる定義は難しいのですが、歴史の中で築き上げられてきたフランス・ワインの殿堂、いわば“お墨付き”のとっておきで特別なワインです。
今回は、“グラン・ヴァン”のなかでも、特に希少性が高く、ワイン通に人気のある「ペトリュス」。その「ペトリュス」の魅力を堪能し、私のワイン人生においても貴重な経験となった「ペトリュスの会」をご紹介します。
言葉にならない美味しさ、心を動かすワインの芸術品
2010年2月、神のお導き!?によって開催されることとなった「ペトリュスの会」。写真の『ペトリュス 1988』は、知人の親友のご主人の遺品・・・偉大な遺産だったのです。たくさんの偉大なワインを残し、突然亡くなったそうで、専門の方に値段をつけてもらい、数年間かけて引き取ってもらったそう。それをお手伝いをしてきた私の知人マダムはこの「ペトリュス」だけは、ほかの人に渡したくなっかったそうで、ご自身が破格で譲り受けられた後、「ワイン好きを募って、ペトリュスの会をやりましょう! Kicoさんの定休日に合わせるから!」と、私にお声がかかったのがはじまりでした。
この『ペトリュス1988』、ご覧の通りのビッグ・サイズ。もともと生産量の少ない「ペトリュス」が6ℓのビッグボトル(8本分)に詰められているなんて、本当にレアもの。
しかも大瓶に詰めるワインは生産者の肝入り。会費が4万円・・何とも贅沢な会かもしれません。しかし!そこは、手が届くなら絶対に飲んでみたいと思うのがワイン好きの性。当初不安だった23名は簡単に集まってしまったのでした。それほどワイン好きを魅了するチカラを持つ、幻の“グラン・ヴァン”の一つ、「ペトリュス」なのです。
ワイン学校講師の仲間の手を借り、「ペトリュス」は極限の緊張の中、慎重にデカンタージュ。1時間弱の時間を要し、均等に皆さんのグラスに注ぎ分けられ、さぁ、来い!ペトリュス! 1988年、22年経過しているにもかかわらず、若い、熟成の過程にある。極少量を口にしても、その何倍も飲んでいるような圧倒的な旨味の強さ。飲みこんでもなお、いつまでも口の中に存在してくれる余韻の長さ・・・。飲み頃のピークとは言えないにもかかわらず、です。今もなお鮮明に、その特別な味わいが思い出されます。
Point!
最後に“グラン・ヴァン”の話をもう少し・・・
一般的に“グラン・ヴァン”とはフランスの高級ワイン、つまりブルゴーニュ(かの有名なロマネ・コンティを筆頭に)の一級・特級畑のワインや、ボルドーの格付けされたシャトーのワインなどのことを指します。特にボルドーのジロンド川左岸地区は「ラトゥール」「ムートン」「マルゴー」「ラフィット」「オーブリオン」、五大シャトーを有するエリア。この地区は1855年に開催されたパリ万国博覧会に際し、公式の格付けが行われました。その他にも同年に貴腐ワインで有名なソーテルヌが、約100年後にグラーヴ地区とサンテミリオン地区が公式に格付けされています。
今回ご紹介した、「ペトリュス」は、サンテミリオン地区のお隣にあるポムロール地区のワインです。この地区には公式な格付けがありませんが、「ペトリュス」がドルドーニュ川右岸ナンバー1の地位に君臨していることに関しては誰も異論はないよう。その理由は、1889年にも開催されたパリ博覧会で金賞を獲得したことにより、その名が次第に知れ渡り、第一次世界大戦頃には高級なワインを造り出すシャトーとしての人気が高まりました。現在ではその希少性がシャトーの価値を不動のものにしています。
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