今のこころの状態、上向き?下向き? 

2012年02月20日 11時00分配信  日経BP社 日経ウーマンオンライン

イライラ、悲しい、さびしい……そんな今の気持ちを素直に見つめれば脳が鍛えられてこころも上向く!

 過去のつらい経験をいつまでも忘れられなかったり、「もし、うまくいかなかったら……」などと先々のことを不安がったり。人間、なかなか心穏やかに過ごせないのはなぜなのか。

 「嫌なことを繰り返し思い起こすのは、過去にとらわれているから。一方、まだ起こってもいない先のことをあれこれ想像し、不安を感じるのは、未来にばかり目が行っているから。このように過去や未来に執着して、『今』がお留守になっていると、今、この現実を生きているという実感が得られない。だから幸福感を感じにくい」と、早稲田大学人間科学学術院の熊野教授は説明する。

 実は、こんな状態に陥っているとき、脳の中では、扁桃体(へんとうたい)と呼ばれる場所に、ある異変が起こっているという。

悪感情は扁桃体の暴走前頭前野を鍛えれば収まる

 扁桃体は“本能の脳”と呼ばれる場所に位置し、記憶に関わる領域などと連携して、無意識のうちに快・不快や好き嫌い、安全・危険などの判断を行う。

「不安や恐怖、イライラ、後悔といったネガティブな感情に振り回されているとき、脳の中では扁桃体が異常に活性化し、いわば暴走状態にあることがわかっている」(熊野教授)。

 もともと扁桃体は危険を避けて身を守るため、不安などの感情を生みだすが、それが過度に働くと必要以上のネガティブ感情が生まれることになるのだ。

 この扁桃体をコントロールするのが、自分の気持ちを客観的に把握したり、理性的に物事を判断するなどの高度な情報処理を行う前頭前野。「この前頭前野をしっかり働かせられれば、扁桃体の暴走は収まるが、働きが弱まり機能が低下すると、暴走にブレーキをかけられなくなる」(熊野教授)。

 つまり、過去や未来にとらわれたり、ネガティブな感情に振り回されたりする状態に歯止めをかけるには、前頭前野を鍛える必要があるのだ。

 そこでお薦めするのが、前頭前野を確実に強くする四つの方法。その一つが「感情の観察」だ。ネガティブ感情が浮かんでも、「なぜこんな気持ちになるの?」「何が原因だったの?」などと深堀りはしない。「『ああ、今、私の中でこんな感情が湧いている』と、ただ観察するだけでいい」(熊野教授)。

 そうしていると、ネガティブ感情は実は自然に消えていく。これも大事なポイントだ。「蚊に刺された場合、かくとかゆみは悪化するが、放っておくと2〜3分でピークに達し、やがて収まる。不安などの感情も同じで、通常は20分ほど続くと徐々に小さくなっていく」(熊野教授)。嫌な感情も正面から向き合ってしまえば大して長続きしない。これを知っておくだけでも、気持ちが軽くなるはずだ。

こんなことをこころがければ扁桃体の暴走を食い止められる!

ネガティブ感情はちゃんと受け入れると長続きしないことを知っておこう

 不安や怒りなどの感情は思ったほど長続きしない。そういう感情を初めから避けようとするのではなく、まずは受け入れる。しばらく耐えたら、感情は自然に消えていくことを実感できるはず。

「なんであの時…」「どうして自分は…」はNGネガティブ感情の原因を突き詰めようとするのはやめよう

 心の中に湧き起こる感情に「なぜ?」と問いかけていくと、どうしても意識が過去に向かいがち。感情の泥沼に陥って、“ぐるぐる思考”から抜け出せなくなる。

ポジティブ感情もネガティブ感情もあるがままに観察を。実況中継が効果的

 「今私、イラッとした」「何だかさびしい」など、自分の心の中に生じた感情を客観的に観察して、簡単な言葉で実況中継してみる。「今、この瞬間」に意識を集中する方法。雑念が消えて、集中力が生まれてくる。

感情の波は生じるのが当たり前。波に「飲みこまれ」ず、波に「乗る」意識で

 不安や怒りなどの感情は誰にでも生じるが、大切なのはその波に飲みこまれず、うまく乗ること。いいことがあっても喜びすぎず、悪いことがあっても落ちこみすぎないのが、波乗りのコツ。


 不安感がどう変化するかを示したもの。例えば、乗り物恐怖の場合。乗るのを避けると即座に安心できるが、「もし乗ったら…」という不安はずっと残る。逆に電車に乗れば激しい不安が15分ほど続くが、その後は少しずつ自然に消えていく。厄介な感情は回避せず、あえて直面することが重要。(坂野雄二作成、熊野宏昭著『ストレスに負けない生活』(ちくま新書)より改変引用)

目指したいのはこの状態

 
 充実感・満足感・幸福感を感じられる
 ストレスを受けても受け流せる
 こころが安定して物事に動じない
 嫌な気分が長く続かない

扁桃体が安定


 ストレスもあるし、ネガティブ感情も生じるけれど、それに必要以上に振り回されず、心の安定を維持できる。過去や未来より、「今、この現実」を大切にして生きることができる。

こころの不調はこんな状態

意識が「過去」や「未来」に集中


 過ぎたことなのにくよくよしてしまう 嫌な思い出にとらわれる
 自分を否定し、後悔したり反省してばかり


 将来に対して万事悲観的
 他人に対する期待が強く、裏切られてはイライラ
 悪いほうへ悪いほうへと想像を働かせてしまう

扁桃体が暴走


 扁桃体が過度にアラートを発している状態。自己否定や後悔、不安、緊張、イライラなどのネガティブ感情に押しつぶされそう。過去にとらわれ、未来を心配して、「今この現実」を生きることが疎かに。これではハッピーにはなれない。

プロフィール
熊野宏昭教授
早稲田大学人間科学学術院
心療内科医。心身症やパニック障害などの治療に携わる。著書に『ストレスに負けない生活』(ちくま新書)『マインドフルネスそしてACTへ』(星和書店)など。「イライラしても赤信号は変わらない。心配の外に出て、ちょっと離れたところから自分を見る練習も重要です」。twitter

Copyright 2012 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved.

旬なキーワード: 金環日食 五月病 ヒカリエ

アクセスランキング

新着記事


Ads by Glam

今日の運勢
  • 大人の今日の誕生日占い
  • 大人の血液型 自分の説明書診断
おすすめコンテンツ
賢く眠ってキレイをアップ!

美容に効果的な睡眠法をレクチャー!睡眠グッズが当たるキャンペーンも開催中

よい睡眠はキレイの源。ぐっすり眠ってアンチエイジング

美白肌のヒミツ大公開!

肌のプロフェッショナル高瀬先生が、美白肌を育む日々のケアと生活習慣を伝授

アラフォー世代の美白事情

毛穴ケアにおすすめアイテム

たきれいこさんお気に入りの毛穴に効くアイテムや、ライフスタイルをご紹介

夏までに毛穴レスな美肌を手に入れる たきれいこ流 陶器肌レッスン

門外不出のビューティーレシピ

読者エディターが教える、美容と健康のためのとっておきビューティーレシピ!

暮らしのコンシェルジュ